第37章 憎悪の結末
なんとか山を降りると
「姫様、政宗は諦めて、明日 荷を纏めてお戻り下さい」
瑠璃が哀痛の様子で覇気のない藤隆姫にそう言った。
「…私の知ってる兄様はもういないのね…」
幼い頃の記憶。
屋敷で遊んでくれ、
頭を撫でてくれ、
優しく笑いかけてくれた政宗。
それに憧れ、慕っていた姫。
今、本当の姿を、正体を知った。
人簡単に殺せる非道を非道としない武将だと言う事を衝撃の事実を認めた。
その瞬間、姫の理想と言う幻想は脆くも崩れ、消えてしまった。
「…帰ります……」
顔を伏せ、項垂れた様子で小さくそう言った姫の声は泣いて聞こえた。
城に戻ると
キャァァー……
城で待っていた美弥が悲鳴を上げた。
「ぁ…瑠璃さん!血っ!
頭、顔に、血がっ。
い、家康‼︎家康の処に行こう‼︎」
と手を取ったが、
「違う、家康呼んでくるからっ!」
半ばパニックになりつつも家康を呼びに走った。