第37章 憎悪の結末
ドンッッ、ドサッ!
と、音と声がして瑠璃が眼を開けてみれば、自分の上に居た姫を押し倒している政宗が居た。
その形相は身震いするほど恐ろしい。
政宗は石を持つ手を抑え、
もう片方の手は藤隆姫の首を押さえている。
その様子は獲物の喉を咬み裂こうとする虎のようだ。
「ゔ…ぐっぅ“……にぃ……ヒッッ…」
苦しさを訴えようとする藤隆姫だったが、
声を飲んだ……。
(『政宗は人殺しが大好きだ』…)
光秀から聞いたあの話が蘇る。
憤怒に狂いそうな癖に
瞳は爛々と輝き、弧を描く唇。
何処か、その手で人を殺す事を期待しているように見える政宗の眇められた蒼い瞳。
藤隆姫は恐怖に張り付いて政宗から目が離せないでいる。