第37章 憎悪の結末
見つけた!
捕まえた!
「離してっ」
「離しません」
藤隆姫は手を振り解こうと身を引く。
「何でアンタが来るの⁉︎
アンタなんか嫌いなのよ!」
「何で?
私は何もしていません」
「政宗兄様がアンタを好きだからよっ!」
「それは、私の所為じゃない、選んだ政宗のせいです」
正論だ。
全くもってその通りだ。
けれど、正し過ぎて許せないし、引けない。
「兄様の所為にするの?
アンタが色目使ったんでしょっ」
(そんなことっ)
瑠璃は唇を噛み締めた。
(そんな、誤解、勝手な口実、
聞き飽きるくらい聞いた。もう…)
「そんなんっ!聞きとぉあらへん‼︎」
初めて瑠璃が大声を出した。
「ええかげんにしい!
貴方を連れて帰る」
「はーなーしーて!」
離す離さない、と口論しながら揉みあっていると、
シュッ
藤隆姫の指先が瑠璃の眼に当たって掠めた。
「っあ!…つ…」
瑠璃の力が緩んだ。
その隙をついて藤隆姫が力一杯瑠璃を押し、倒した。