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《イケメン戦国》未来から来た戦国姫

第36章 嵐 天主へ寄る




抱きしめて、肩口に顔を伏せる。
抱きしめて、色んな想いが流れ過ぎゆくのを待つ。
けれど、流せないものがあって……
溢れ出していた。

「……好きだ……」
抱きしめた瑠璃の耳にだけ届く声で、
苦しそうに、
申し訳なさそうに。

そして、
「…好きだよ、瑠璃……」
安堵のこもった、心からの声で。


「……家康様……」
瑠璃はどうしようも無くて、何も言えなかった。

答えはことも、断ることも、
冗談にすることも、笑い飛ばすことも

返す言葉もなく。

全てが静止した。

鼓動とそよふく風だけが動いていた。




どのくらいそうしていたか
「ごめん……忘れて」
瑠璃の身体を離すと、家康はそう言って背を向けた。
後悔と反省とが混じった気まずい様子の家康の背中に、瑠璃は凛声をかけた。
「姿勢、どうでしたか?」

眼を丸くして振り返った家康に瑠璃は麗美と笑いかけた。



…はっ…ははは……
「…そうだね……」

何も無かった様に。
ただ、一投 弓を放った後からやり直す様に。

(やっぱり君は優しくも冷酷だよ)







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