第36章 嵐 天主へ寄る
その日の午後から、城には玉瑛でなく瑠璃がいた。
「瑠璃、久しぶりだな。
どうしてた?
茶 点ててやるから飲んでいけよ」
瑠璃を見つけた秀吉が、ニコニコと茶に誘う。
「あっ、私も一緒したいっ。
お茶菓子持っていくからっ!
瑠璃さんと一緒したーい」
美弥がぴょんぴょんと秀吉について回る。
そんな美弥を瑠璃は微笑ましく見ていた。
すると、恐縮したような声で、
藤隆姫が美弥を呼んだ。
「美弥様…」
「あっ、藤隆姫。
悪いけど、私、今日は瑠璃さんとお茶するから。
ゴメンね」
困惑の藤隆姫に美弥は上機嫌で、あっさりと藤隆姫をふる。
(瑠璃っ…くっ)
藤隆姫は楽しそうな美弥を見ながら、拳を強く握った。
その日は秀吉に引き留められた瑠璃は
一日中美弥に捕まっていた。