第35章 嵐 顕現
厩舎から馬装させた政宗の馬を引いて来た瑠璃。
政宗は手綱を受け取ると、
冷ややかな瞳を向けて言った。
「お前、城にいる間、藤に冷たく当たってるんだってな」
問うように責める。
確認するように責める。
政宗の口調と眼差し。
「…誰が…」
「誰が言ってたか、か?それとも誰が冷たいのか、か?」
「⁉︎」
政宗の声音は酷重で、嘲られている様な調子だった。
まるで、「お前が、だろ」と断定されているようだった。
瑠璃の銀鼠色の瞳が揺れながら政宗を見る。
「誰が言ってたか、が問題じゃないだろ。
冷たくしているのが問題なんじゃないのか?」
瑠璃が口を挟む余地の無い言い方。
(この物言い、知ってる…)