第35章 嵐 顕現
「政宗兄様、どちらへ?
藤もご一緒しても?」
我が物顔で朝の申し渡しに同席し終わった藤隆姫は今日も政宗にベッタリだ。
「美弥と一緒に居ろよ」
(え"っ、私に押し付けるの?)
「えー。
政宗兄様と一緒がいいですわ」
「今日は遠出だから無理だ」
藤隆姫は、政宗の腕に自分の腕を巻き付けて猫の様にまとわりついている。
「そうですかぁ〜…わかりました。
良い子に待ってますね」
(女って怖い…)
(お前も女だろうが)
(光秀さんは私のこと女だと思ってないくせに)
(まぁな)
(くぅぅ〜)
(瑠璃があれの半分でも愛嬌があったら…)
(あったら何だ?家康)
(み、光秀さんっ、な、なんですかその眼)
(瑠璃さんがあんなだったら嫌だ〜)
(それは女の意見だ。
男は皆、媚びられたい生き物だ。だろう、家康?)
(…それは……まぁ…)