第35章 嵐 顕現
そんな翌日
三成の処に藤隆姫がやって来た。
「三成様、失礼致します」
「おや、藤隆姫様、どうなさいましたか?」
三成は書物から顔を上げてニッコリと笑った。
藤隆姫は書庫にこもっていた三成を探してわざわざやって来たようだった。
「…はい…あの…」
泣きそうな声で三成を見上げる。
「瑠璃殿にこの書の事を聞きましたらーー…」
(この書物はーー…)
三成が瑠璃に貸していた物だ。
「わたくしには読んでお答えしてさしあげられない、と冷たく断られまして……。
書物の事は三成様に聞けと、
相手にもしていただけませんでした…」
(この書物をどこで…)