第5章 光秀と参謀
私は悩んだ挙句、
光秀様を御殿へと寄せた。
「良いのか?2人っきりで」
「こんな話、2人っきりでなければ出来ません」
「襲われても知らぬぞ」
「まぁ、襲うつもりの人は、予告などしませんでしょう?」
光秀様は私に気を遣って、警戒しろ と冗談めかして言っているようだった。
(この人は、こんなにも優しいのに……)
いつも意地悪な振りで、悪者を買って出る。
だから、私はこの人が好きだ。
だから、現代人から持って来てしまった。
「お土産です」
カサッ
四つ折りの紙を畳の上に滑らせた。
光秀様の綺麗な指が紙を開く。
光秀様が眉を上げる。
(これはーー…)