第35章 嵐 顕現
真っ白な象牙の爪。
それに細かな蝶花の彫りがしてある。
それを見ながら、笑う瑠璃はとても幸せそうだ。
こんな時だけ幼い、柔らかな表情を見せる。
美しい物が好きなただの女の様子。
「嘘、ではないですよね?」
三成から出た言葉に
「嘘、ですか?」
銀鼠色の瞳をまん丸にして驚くと、
ウフフフ…フフ…
「嘘、ついたとしても、
見破られるような嘘はつきませんけどね」
と一瞬にして、幼い笑顔を、妖悪な笑顔に変えた。
(こんな女が簡単に暴露るような嘘や事を起こす訳がない…)
瑠璃の変わりように秀吉はゾッとした。
「だろうな。フハハハハ」
信長が痛快と笑った。