第34章 書庫での哀苛(R18)
城内ですれ違った者達が、
玉瑛を抱えて歩く三成を、ギョッとした表情で見ては振り返った。
「よぉ、みつ…⁉︎」
「秀吉様、用事なら後ほど…」
「え?なっ、ええ?玉瑛?
怪我でもしたのか!」
「いいえ、怪我はしてません。
すみません、急ぎますので」
三成にしてはかなり素っ気ない態度。
「あっ、あ、ああ、すまん」
気圧され、謝ると、
状況を飲み込めない秀吉はなんだか分からないまま、三成を見送った。
「瑠璃様、新しいお召し物、置いておきますね」
瑠璃の返事はなかったが、お夕は、それだけ伝えると脱衣所から出て行った。
三成が連れて来てくれたのは湯殿。
誰も居ない湯殿。
昇る湯気を瑠璃は虚ろに瞳に映していた。
そこへ、ガラッ、戸が開いて、
誰かが入って来た。
じっと伺っていると…