第34章 書庫での哀苛(R18)
「いえ、瑠璃様、そのままで…」
三成は落ちている袴を拾うと、
折り畳まれた瑠璃の脚にかける。
「失礼致します」
三成らしく丁寧に頭を下げると、
丸まっている瑠璃をヒョイッと抱え上げた。
成人女性を軽々と持ち上げられるとは、
柔和にして細身の青年の様でもやはり、
三成も男性で、戦国の世を生き渡る武将なのだ、と瑠璃は実感させられる。
「顔、私の方へ向けていて下さいね」
優しい声音。
痛みを代行してくれそうな慈しむ様な、
心を救ってくれるような笑顔を瑠璃に向ける三成。
(貴女は涙の跡など似合いませんから)
三成が瑠璃を抱く腕に力を入れ、瑠璃を寄せた。
それに気付いたのか、
瑠璃は三成の胸に顔を押し当て、
身を寄せた。