第34章 書庫での哀苛(R18)
「……こんな事をする為に…気配を消して待ち伏せてたんですか?…」
瑠璃は座り込んだそのままの姿勢で、俯いてそう尋ねた。
尋ねてたと言うより、口を突いて出ていた。
「⁉︎ こんな事⁉︎」
瑠璃の言い草に、政宗は苛ついた口調で
蒼い瞳に怒りを湛え、睨みつけた。
「…お前が俺を避けてるからだろっ。
…俺は、お前に会いたくて待ってたんだ」
(会いたくて……本当に?)
俄には信じられなかった。
(じゃぁ、何故、何も言わず、私を見ず…)
「………」
瑠璃は俯いたまま黙った。
「………」
政宗は瑠璃の言葉を待っているのか、
何も言わない。
重い重い沈黙。
「……私は……」
言いかけて瑠璃はまた黙った。
「……もう…行って下さい……」
そして、間があって、瑠璃が言ったのは
(出てけって事かよ⁉︎)
そう取られてもおかしくない一言。
「はっ、あぁ、そうかよっ!」
政宗は短く言葉を吐き捨てると、
書庫の低い鴨居をくぐって、出て行った。