第33章 撹嵐の姫君
(政宗さん、無視じゃなくて、追い払って下さいよ💢)
家康が横で政宗に苦言を呈す。
が、
(言っても聞かないんだ、無視すんのが1番だ)
(そんな)
見かねたのは美弥。
「藤隆姫、私と外へ行きませんか?」
「はい!」
信長の寵姫に直接声を掛けられたとあれば、
藤隆姫には断る理由はない。
権力者の女に近づく機会なのだから。
「美弥様、喜んで」
サッと立ち上がり、美弥についてそそくさと出て行った。
「チッ、なんなの、アレっ💢」
家康が分かりやすく悪態をついた。
「まったくお子様だ」
光秀が笑う。
「仕置きが必要な娘だな、クククク」
「しても良いんじゃないですか」
「家康から賛同を得られるとは珍しいこともあるもんだ」
光秀が眉を上げ、眼を丸くした。が、
その表情はどこか嬉しそうだった。
そんな最近の毎日の一部始終を瑠璃は玉瑛の姿で黙って見ていた。