第33章 撹嵐の姫君
けれど、人は案外すぐに慣れるものだ。
3日も経てば、当面の悩みなど薄れて日常を過ごす。
御殿も城でも藤隆姫が政宗にベッタリとついて回る様子も日常と化しつつあった。
「兄様、私、今日も参城してよろしいですか?」
腕を取り、回し抱きつく。
「俺は忙しい。ついて来ても相手はしてやれないぞ」
政宗は「勝手にしろ」という姿勢。
関与しない、関心を持たない、持たせないらそのつもりの態度だったが、それが、結果的に、姫の「勝手」を許している事になっていた。
朝の申渡しでも、
(やりにくいんだけど……)
(何考えてるんだ?あの姫は)
(敵でもなければ味方でもありませんが…)
不満や困惑を持つ。
「姫っ、外へ!」
「姫、どうかっ」
家来達がなんとか姫を外へ引っ張り出そうとする。