第33章 撹嵐の姫君
(これは、ラチがあかん…
ここは、穏便に一旦引いた方が良さそうやな…)
そう考えた瑠璃。
この時瑠璃は、これが藤隆姫を勘違いさせ付け上がらせる事になるとは思っていなかった。
「分かりました。
(面倒なので)私は安土城へ移ります」
「まあ、物分かりが良くてたすかりますわ」
藤隆姫は嫌味を付けて礼を言う。
「荷を纏めますので、お退り下さいませんか、藤隆姫」
冷たい声で唇だけで笑ってみせた。
瑠璃の刺すような気に気付き、
気圧されたのか、藤隆姫は
「荷を纏めたら、いつでも出て行ってくれて結構よ」
と高飛車に捨て台詞を吐いて瑠璃の部屋から出ていった。
外から戻った政宗は夜になって女中に話を聞いた。
「はっ?
お夕を連れて城へ行った?…なんて事だ…」
頭をかかえた。