第33章 撹嵐の姫君
泣き愚図っていた藤隆姫、
けれど、一瞬で態度を悪転させた彼女は、
開き直ったのか、諦められないからなのか、
強気と我が儘を全面に、伊達御殿に移ってきた。
いや、一人乗り込んできた。
実際、藤隆姫は大切な一人娘と、
甘やかされて育てられた為、
我が儘放題だった。
だから、この度も大勢の共を勝手に連れて安土までやって来た。
家来達はたまったもんじゃないのに、
そんなこと、姫はお構いなしなのだった。
夕刻、藤隆姫は瑠璃の処に来ると
「アナタは出て行ってくださる?」
と言った。
突然の事に瑠璃が言葉を発せないでいると
「今日からワタクシがここに住うのですから、
アナタは出て行くべきでしょう?」
さも当たり前のように話を進める。
「ちょっっ…貴方、何言ってるの⁉︎」
憤慨のお夕が瑠璃の代わりに言葉を返した。
「政宗兄様の姫は2人も要らないでしょう」
フフンと鼻で笑って座っている瑠璃を見下す。
「政宗様の姫はこの瑠璃様です」
「そこの侍女、分からないの?
今日からはワタクシが兄様の姫なのよ」
今朝方こっ酷くフラれたのはどこらやらだ。