第33章 撹嵐の姫君
(政宗はこんな薄情な物言いをしてた?)
瑠璃が今まで見てきた政宗はこんなに冷ややかではなかった。
無関心ではなかった。
誰よりも人情があって人に関心を持っていた。
(それって…)
相手が関心のある者だったからだ。
(政宗は、自分にとって必要の無い人には、本当はこうなのかな)
情け容赦ない。
冷酷な態度と視線で判断し利己的に切り捨てる。
(この世はそんなところで、将(おさ)とは実のところ、皆、そういう判断をする人達なんや)
忘れそうになる。
この世は戦国乱世、戦、裏切り、陰謀、
冷血でなければ生き残っていけない。
(だとすれば…私は…)
真正面の精悍で冷たい主将の政宗。
(私は…最初から情をかけられていた?の、かな…)
そう考えると、トクンっと甘くときめいて、
嬉しさと共に恥ずかしくなった。
最初から自分が政宗の心のどこか、
片隅にでも引っ掛かっていた。
どうでもいい存在だと思われずに済んでいたんだ、と言う事にホッとして、
なんとも擽ったく、言い表し難い気分になった。