第31章 雨降り前の夜(R18)
ふぅぅーー…
瑠璃が肩で大きく息をして、
政宗は軀を堅くし、瑠璃の言葉を待つ。
大概のことでは動じない。
戦の報告、戦死の報告を受けるのを待っても、こんなに冷や汗をかくことなどないのに、瑠璃の言葉を待つ短い間が、政宗を何よりも震え上がらせていた。
「……信じてはいるんです」
困った様に眉を下げてはにかんだ瑠璃。
その言葉に、政宗やっと肩の力を抜いた。
「心配になる事も、不安になる事もない。
政宗は私だけを見ていてくれるって…
なのに…なんて言うか…変な気持ちになるです…」
(…瑠璃…)
こんな弱音みたいな事、
自分の素直な気持ち、みたいな事、
瑠璃はこの時代に来るまで誰にも言ったことがなかった。