第30章 奥州からの一行
美弥が藤隆姫を案内している頃、
武将達は天主に集められ、事の経緯を政宗から聞いていた。
(あの日、照月がゴミにした文がそうやったんか…それであんなに喜んでたんやな)
政宗がゴミになった文を見て、照月を抱きしめて喜んでいた本当の理由に気付いた瑠璃。
方々から政宗に来ていた嫁取りの文。
その中の一つに藤隆姫の家から来たものがあったのだ。
「大條には何度も断りの文を送ったんだ…」
政宗が溜め息を吐いて天井を仰ぐ。
「止められたけれど、無理矢理来たってところだね」
「父上には内緒で勝手をして、
大條氏が気付いた時には姫はもう出発してしまっていた、と言う事だな」
家康と秀吉の推測はほぼ当たりだった。
「慌てた大條氏から早馬で政宗様に文が届くも、姫の到着とさほど差がなく、
こうなった と言う訳ですね」
三成も口を挟みながら事を整理してゆく。