第29章 子虎と文
「うわぁ、何だこりゃっ」
政宗が自室の様子に声を上げた。
部屋の中は、盗人にでも入られたかの様に、
その辺りの者が散乱している。
「バリバリと音がするので覗いてみたら…」
お夕が困った顔でまた頭を下げる。
「…照月が…」
「荒らしていたの?」
「荒らして…と言うよりは遊んでいたと言いますか…」
他の女中が照月を連れてきた。
「照月!文 喰ったのか⁉︎
腹は大丈夫か?」
(腹、の、具合…)
部屋を滅茶苦茶にした事を怒るのかと思いきや、照月の腹具合を心配する政宗に、
瑠璃は苦笑いし、女中2人はポカーンと呆けてしまった。
「政宗、重要な文だったのではありませんか?
こんなビリビリで…
もはやゴミですよ、ゴミ」
瑠璃が散り散りの文を「ゴミ」と一刀両断した。