第28章 狐の残謀と逃げる兎
邸内の外廊下から2人を狙って刀を振り上げる男が、白目を剥いて倒れる。
「「⁉︎」」
通り過ぎる馬、長い髪が靡いて跳ねる。
馬上から矢を放ったのは瑠璃。
「瑠璃⁉︎」
「見事だ」
「馬を捕まえて下さい!逃げましょう!」
瑠璃が叫ぶ。
その為に馬を庭内に放ったのだ。
もちろん、鞍は乗っていない。
轡が噛まされているだけの裸馬だ。
それでも、
信長と政宗は、刀を振り上げる男を短刀で振り払うと、手綱を掴み、軽々と馬の背に飛び乗った。
追いかけてくる人を振り向いて、
瑠璃は何本かの矢を放っと、
先を走る2人を追った。