第28章 狐の残謀と逃げる兎
「あっちっだ!」
兵士がやって来る声が聞こえて、姿が見えた。
「うぅーんッッ〜 と、お、れっ!…〜〜‼︎‼︎
キャッ!」
渾身の力で押し込んだ身体がスッポ抜けた。
ドサッッッ
勢い余って下半身から転がる。
けれど、無我夢中、
急いで立ち上がると、着物についた土を払うとこなく、駆け出した。
瑠璃は余計な事は考えない。
いつの間にか、光秀の間者だと言った男の姿はなくなっていた。
(本当に光秀の間者だなぁ、感心するぜ)
言われただけの仕事をこなし、
それ以上の助太刀は無し。
政宗は感心した。
(よく躾けてやがる)