第27章 遠くの近く
「待って下さい。
これは我々を外へ誘き出す策では?」
立ち上がった信長を政宗が一旦、引き止める。
「だとしても、ここで丸焼けになるわけにはいくまい」
瑠璃は歩いてゆくと障子を開け、
何かを考えている。
(下から?)
煙は下から上がってくる。
ゆっくりと蔓延する。
(何故こんなにゆっくり…しかも…
青臭い煙や)
香を嗅ぎ分けられる瑠璃の鼻が青い匂いを嗅ぎ取った。
(乾いた薪ならこんな煙じゃない。
爆ぜる音もしない…生の木?
何で?)
顔を上げて辺りを見る。
(煙が出てても人が来ないってあり得る?)
「ッッ」
急にチリッとした刺激を感じて声を溢した。
「瑠璃?どうした」
「変やっ、これっ!」