第27章 遠くの近く
「くっっ……っ、帰蝶ぉーーっ」
秀吉が腹の底から怒号を上げた。
(楯突くのかっ!
反旗を翻すのかっ!
謀反か⁉︎
勝手に出て行った挙句がこれかっ)
秀吉が遠くの帰蝶を睨みつける。
その視線、その声が届いたかのか、
帰蝶が此方を捉え、不敵に笑ったように見えた。
「秀吉様、隣に立っているのは…」
「誰だあいつ。帰蝶の仲間か?」
三成と秀吉が帰蝶の横に立つ褐色の肌の男を訝しんだ。
「それより…帰蝶は信長様が不在なのを知って来たと思いますか?
もし、そうだとしたら…」
「「‼︎」」
家康の言葉に三成と秀吉が気付いた。
「罠か」
「信長様は誘き出された可能性が出てきましたね」
京でもなにか起こるかも知れないと言う事。
「信長様っ」
(瑠璃っ)
(瑠璃様)
不安が過ぎる。
秀吉は信長を、
家康、三成は瑠璃を案じた。
政宗の事は誰も心配しなかった。(笑)