第27章 遠くの近く
「秀吉様っ、城壁の破損のみを確認!」
「怪我人はありません!」
「外周に人影無し!
戦の予告状も来てはおりません」
確認をしてきた者達が次々に伝えに来て頭を下げている。
「…そうか、分かった。ご苦労、
暫く様子を見よう」
思案顔でそう言った秀吉。
伝達の者が下がると
「俺も一度外を見にい‼︎‼︎」
ドォォン!ドォォン‼︎
秀吉が言っている最中に、再び爆音が響いた。
「一体何んだっ」
窓の外を見れば、櫓から煙が上がっている。
砲撃が仕掛けられただろう方向に目を向ければ…
「「「⁉︎」」」
此方を見ていた冷めた眼差しに貫かれた。
(あれは…)
(帰蝶様…)