第26章 京に立っ薫煙
「ところで、瑠璃。
さっきの花、なんだか知ってたんだろ」
(でなきゃ、尋ねる訳がない)
不確かで確かな確信を持っていた政宗。
「まぁ…そうですね。
あれは、夾竹桃の花です」
政宗の読みは命中。
夾竹桃は現代では中央分離帯や川の脇に植えられているほど、よく見かける木だった。
育てやすいのだ。
ただ、近年、排除される傾向にあって、
晩春から秋にかけて咲いているのを見かけなくなった。
それには、理由があった。
「キョウチクトウ…俺は知らないな」
「比較的暖かい地方に育つので、奥州にはないのかもしれません」
「して、そのキョウチクトウ、は毒がある、のだな?」
川沿いや公園の隅から排除された理由。
毒素がある。
「樹液が口に入れば、嘔吐の末に死に至る事があるそうです。
樹液以外のすー…「ここから出るぞ」」
瑠璃の話を遮って信長が突然言った。