第26章 京に立っ薫煙
ひどく艶凌な笑を浮かべてから、
湯のみにそっと、口を付けた瑠璃を見て、
政宗は
(まーた、ひとり、悪いこと考えてんだろうなぁ)
と軽い嘆息を吐いた。
悠々優雅と香合わせが続き、
お開きになったのは、昼八つ時も近くなってだった。
「本当に、暇なことで…」
政宗が、凝り固まった肩を上げ、
腕を挙げ、伸びをする。
公家達は先に帰っていった。
「少々お待ちを…」と言われ庵に残ったのは3人だけだった。
「見上げ(お土産)があると言ってましたが、何でしょうね?」
瑠璃が首を傾げる。
(そもそも、この時代に、
『お帰りには手土産を』なんてあるのかしら…)
瑠璃にはまだまだ知らない事がたくさんある。