第26章 京に立っ薫煙
「あんなに拒否されるやなんて、えろう失礼やわぁ」
やんわりと、傷ついたと主張し、公家方を見てから、信長に縋り付くような視線を投げると、
「こういった席に給仕するのはあの者は初めてでして……
大変、失礼を致して、申し訳ない」
と、主催者が頭を下げた。
((初めて、か…舐められたもんだな))
信長と政宗は笑いを噛み殺す。
瑠璃が切り出した話だ、信長は口を挟まなかった。
「…取り敢えず、美しい花を愛でたいので、花の入っていない清水を、3つ、改めて、頂きとう御座います」
瑠璃が柔和でも毅然とした態度で頼む。
「飲んだ後でも、愛でられますやろ」
何処からか、そんな声が出てきた。
(どう切り返す?)
政宗は揶揄い混じりの意地悪な表情で
瑠璃の横顔を見つめる。