第26章 京に立っ薫煙
信長と政宗は馬に乗り、
瑠璃を乗せた輿は二条城入口に入った。
奥は三条まで続く庭園『神泉苑』
かっては手入れする金さえ無く、荒れ放題だった木々や池。
それはたったった2年で全盛期の美しい景観を取り戻した。
信長が入洛し、金と人手を出したからだった。
「お待ちしておりました」
その一言で、奥へと続く両脇に並んだ人が一斉に頭を下げた。
((あの、1番下手の者…))
頭を下げながらもなんとか此方を見ようとしている者がいる事に信長も政宗も気付いた。
(好奇心か)
(それともーー…)
真っ直ぐ前だけを見据えている政宗と信長の眼が、知れず鋭く周囲を窺った。