第26章 京に立っ薫煙
翌日
「お支度、整いましてございます」
家使えの女に連れられ出て来た瑠璃。
「良く似合うておるぞ」
信長は満足気に眼を眇め、褒め笑う。
黒地に紅葉をあしらった打ち掛け、
内は、生成り地に大菊と桔梗柄の振袖で秋を装っている。
信長があつらえた着物だ。
それを見た政宗も
「流石 信長様。
豪華なものをあつらえられましたね」
と褒めた。
(黒に紅…信長様の色を見に纏いー…)
それでも、白い肌が映えて妖艶に美しい。
今日は信長の瑠璃なのだ。
「……」
「政宗?どうですか?」
政宗の複雑な気も知らないで、瑠璃が照れながら尋ねた。
「…黒地にお前の白い肌が美しく映えて、綺麗だ。
良く似合ってる」
あまり抑揚のない声でそう言った政宗だったが、瑠璃は綺麗に笑った。