第25章 強く在れ
「誰が使ったか知ってるか?」
「いいえ、俺は、知りませんね」
「そっか…誰も怪我がなければそれでいいんだが」
秀吉は首を捻りながら、行ってしまった。
(瑠璃…口実に……馬鹿だな…)
家康は、大きな溜息を吐いて、
朱茜の太陽に目を向けた。
2日後
美弥が歩いていると、
弓術場から空気を裂く音が聞こえて、
美弥は顔を覗かせた。
(家康、カッコいいなぁ)
美弥がホゥ〜と溜息をつく。
「……ちょっと、気が散るんだけど…」
家康が弓を下ろしてハァァ…と美弥とは違う溜息を吐きながら振り向いた。
「ご、ごめんね、家康っ」
美弥が慌てて謝る。