第25章 強く在れ
「…瑠璃…知って…?」
「家康様、
本当に弱い人は、人を蔑んで自分の弱さを隠そうとしたりする人の事ですわ。
弱さを強さに変えようと、口を噤み、
もがきながら努力している人は弱くなんてなありません」
瑠璃は、真っ直ぐな瞳で、
清廉な声音で言いたい事を続けた。
優しく慰めるような深慮や気遣い、
そんな女らしいものは瑠璃の言葉になかった。
ただただ、強く真っ直ぐに、
文に綴るように実論を口にする。
その口調は、瑠璃が随分と前に政宗と話をした時と同じ。
相手が誰だろうと変わりなく理路整然としていた。
(無駄に気遣ったり濁す事なく…)
それがかえって、家康の鬱々とした苛立ちを払っていた。