第25章 強く在れ
「汚い大人…って……」
「あら?家康様はそうは思ったことがありませんか?」
笑顔を見せ続けている瑠璃は、
不自然な程、冷直に家康を見る。
「家の為なら子供にだって大人同様、
罵詈雑言を浴びせ、傷つけ、
用がなくなれば履き潰した草履のように捨てるのです。
そんな家の残り人に、渋面持って会う必要は無い、と思います」
(子に、罵詈雑言…俺を知って……)
「どんなに大人になり、強くなっても、
過去を消す事は出来ません。
それとどう上手く共存していくか、
自分の心に折り合いをつけるか、が大事だと私は思います」
折り合いをつけろ、と言った瑠璃の表情がクッと歪んだ。
(俺の為にそんな、辛そうな顔するの?)