第25章 強く在れ
感情を殺したはずなのに、
記憶からは消せなくて、
ずっと捕われている。
(弱くて弱くて…)
辛かった、あの頃。
泣き虫だったあの頃。
(思い出すな…)
そう思っても、思い出す。
それが、俺の弱さだ……。
強く、なりたい。
もっと、もっとっ……
翌昼過ぎて城の家康の部屋に瑠璃が訪ねてきた。
「家康様すみません…」
「なんでこんな…。
まぁ、でも、顔に当たらなくて良かったね」
左腕に切り傷に効く軟骨を伸ばす。
「朝廷に行くアンタがもし、顔怪我したら、
美弥が行くことになるんだから、
気をつけて」