第24章 夜話合い事(R18)
「家の駒としては必要とされてましたが、
私が私でなくても、藤原の娘と言うならそれで良かったくらいでしょうね」
(悔しいな…)
政宗はそう思うが、瑠璃からは辛苦などの感情はひとつも感じられなかった。
だからこそ、
(歯痒い)
と政宗は思う。
「私の家はもうない。
だから、私に出来ることならさせて欲しい」
懇願ではなく、普通の「お願い」
(そう言えば…)
拾って来て暫くして、何かさせてくれ と女中達に願い出ていたのを思い出した。
(役割、存在してる実感、か…)
思っていると
「政宗は、何か起こる前から色々心配して、
禁止する人でしたか?」
(挑発?)
「いや……どうも、お前の事となると、
転ばぬ先の杖、老婆心が…」
瑠璃の事だけ。
自分のことは秀吉や家康に諌められるほど無鉄砲で、心配など無いのに。
「私は、何があっても政宗が守ってくれると信じてます。
政宗は私の事信じてないんですか?」
「信じてる。けど、それ以上に恐れてる。大切だから」
「政宗……」
瑠璃が幸せそうに笑った。
嬉しそうに、心から。
(その幼い笑い顔を見るたびに)
俺も幸せになる。