第21章 文蛍
つい先日着いた物だ。
差出人は、大條実頼(おおえださねより)
以前は伊達家にいたが、蘆名に嫁いだ彦姫に従い、蘆名氏に属していた。
が、先の内紛に首を突っ込んだ政宗が蘆名を攻め、彦姫が死去した為、伊達家に帰参した男だ。
(おそらく、内容はあのコトだろうが…)
到着したばかりの文に、
政宗は意を決して、
でも、恐る恐る、手を伸ばしたーー…。
「政宗、よろしいですか?」
声をかけられ、ビクッっと肩が震えた。
「あ"、あっ、ああ」
驚いて、掴んでいた文を、文箱に押し込めて慌てて蓋をした。
(焦った、助かった……
なんか、ものすごくみたくない文だった)
スゥーっと襖が開いて、流れる動作で瑠璃が入って来た。
「すみません、まだお仕事中でしたか?」
「いや、終わってる」
「?…そうですか?」
なんとなく、あわてているような、
歯切れの悪い政宗を感じながらも、
瑠璃は澄ました顔で文机の前に座った。