第20章 嫌ワレ毛虫来客ス
「良かった、今お戻りになられたんですね。
ご苦労様でした」
「どうしたー…って、瑠璃?
三成、何かあったのか⁉︎」
慌てて見るも、瑠璃は三成の肩に頬を乗せて
「眠ってる?」
「はい。
諸大名と日ノ本の勢力図を知りたいと仰って、
お勉強をしていたのですが、寝てしまわれて」
「珍しいな、コイツが居眠りなんて」
自分の前でもあまり見せない、
気を許して無防備な処を三成なんかに晒したのかと思うと面白くなかった。
「あ、それは、寝不足だと仰ってました」
「寝不足?美弥みたく、熱中し過ぎて夜更かしするヤツじゃないんだけどな」
政宗が首を傾げると、三成が優しく笑う。
「何を仰いますか、政宗様がいらっしゃらないからですよ」
「俺?」
三成の言葉に政宗は眼を丸くした。
「はい、瑠璃様、
『よく眠れないんです。独りがこんなに寂寞だとは思わなかった』と仰ってました。
何故か、少し不甲斐なさげに、
恥ずかしい気で…照れた様に見えました」
「……」
「あの瑠璃様が、そんな風に仰るなんて正直驚きました。
政宗様が居られないからだと思いました。
それに、諸大名の事を教えて欲しいなんて言い出されたのは、政宗様を独り占めにした佐竹様の所為でしょう」
三成は的確な考察をしていた。
「はっ、なんだそれっ……三成のくせにっ」
悪態をついた政宗は耳を赤くしてそっぽを向いた。