第20章 嫌ワレ毛虫来客ス
「少々放っておいたって、アイツは大丈夫だよ」
(いつも余裕、俺なんか居なくても心配ない)
「信頼してるんだな、お互い」
政宗の投げやりな気持ちなど知らない秀吉はそう言って笑う。
(信頼、ね…)
笑う秀吉とは対照的に政宗は眉間に縦皺を作って、困惑した顔をしていた。
「あ"ー、入りたくねぇなぁ。
帰った途端、冷たーく「あ、お帰りですか」とか言われたら立ち直れないぞ………
ってーー……迎えにも出てこないのかよ」
政宗が玄関に入っても、瑠璃は出てこなかった。
(信頼どころか、頼られても、慕われてもいない気がするぜ)
大きな溜め息を吐いて、式台を上がった、
その背中に政宗を呼ぶ声が追ってきた。
「政宗様」
(三成の声)