第20章 嫌ワレ毛虫来客ス
瑠璃は昼間楽しく過ごした分、
夜、独りになると、独りが身に染みた。
(この私が、誰かと一緒にいたいと思うだなんて……)
主人の戻らない部屋をそっと覗いた。
文机の上、
一節折り取って来た女郎花(オミナエシ)も
アワダチソウも乾燥してしまっている。
小さな黄色いカタバミも、
紅色のゲンノショウコもすっかり萎れてぐったりとしてしまっていた。
瑠璃は、ここ数日、政宗が帰って来た時、一息つけるように差し入れて、
枯れてしまった草花を静かに片付けた。
ハァァァーァー
「ようやく帰りやがった…」
脱力、疲労、ウンザリと政宗が吐き出した。
「付き合わせて悪かったな」
「いや、別に。
あのオッサンのこと、知りたかったのは俺もだしな」
「まぁ、それならいいんだが……
ともかく、早く帰ってやれよ。
瑠璃、待ってるだろ」
(どうだかな…)