第20章 嫌ワレ毛虫来客ス
政宗は苦々と話をする。
「戦ってコッチが勝ったんだが、なかなか頭も腕も良い。
しかも、今回の参城、信長様につかず、
秀吉に付こうと考えてやがる」
秀吉の傘下に入るも、同盟を結ぶも瑠璃には同じ事のように思える。
「信長様の命で動く秀吉様の下に入れば、
信長様に付いたのと同じ事に思えますが…」
この世の序列、配列、思惑、戦策はまだまだ瑠璃には理解し得ない。
「まぁ、そうとも言えるが。
秀吉の傘下や同盟となれば、何かあった時の逃げ道や密通口を確保しておける。
そう言う暗算をしているからだと俺は考えてる」
政宗が義重を嫌うのはそう言う処が見えるからだった。
「姑息…卑怯とか計算高いとか、この世では当たり前なのでしょうが……」
全面突破、真っ向勝負の政宗的には、
腹立たしと感じるのは解らなくもない、
と思った瑠璃。
(保身の為なら何でもする。
どんな口でもきくのはウチみたいやわ)
瑠璃は政宗の横で嘲笑を零した。
その夜は
苛々する政宗のとばっちりを受けて、
瑠璃が寝かせてもらえなかったのは言うまでもない。