第20章 嫌ワレ毛虫来客ス
話の間中、政宗は「気に喰わない」を露わにしっ放しで、広間を出ると独りイライラと文句を言い始めた。
「佐竹のヤツ、佐竹のクセにっ、
毛虫、毛虫っ…くっそぉっ」
歯軋りする政宗を家康が鬱陶しげに横眼で見、三成が苦笑する。
(佐竹義重…常陸を治めた。
伊達と奥州の実権を争った人物、だったかしら)
瑠璃は歴史の教科書を頭の中で開く。
(伊達が勝ったのよね…じゃぁ、なんであんな風に嫌うのかしら)
黙って聞いていると
「あのおっさん剣の腕もいいし、
頭が良いくせに姑息なんだよ、汚ねぇっ」
(何だ、認めたくないのか)
認めたくなくて嫌い嫌いを連発する政宗をみたら、「若いな」と義重に揶揄われるに違いないかった。