第20章 嫌ワレ毛虫来客ス
佐竹義重が来るその日がやって来た。
城に上がってみれば秀吉は檻の中の熊のよう。
政宗は鍛錬場に行ったきり姿を見せない。
瑠璃は三成と一緒にいた。
「三成様、佐竹義重様はどんな方ですか?」
瑠璃が尋ねると三成が眼を丸くした。
「瑠璃様でもご存知ない方がいらっしゃるんですね。
博識でいらっしゃるのに意外です」
(人懐っこく笑う人)
そう思うと不思議と自然に笑が溢れた。
クスッ
「私なんて、知らないことばかりです。
知っているフリをしているだけですわ」
瑠璃が自虐を口にすると、
三成が怒ったような真剣な眼をして諫めてきた。
「瑠璃様、その様にご自分を卑謙するのは良くありません。
人からの好い想いは素直に受け取るのが礼儀です」
今度は瑠璃が三成の説諭に眼を丸くした。
「……三成様……」
(この人は、本当に、武士らしくないー…)