第20章 嫌ワレ毛虫来客ス
秀吉が慌ただしい。
天主へ上がったり、三成と真剣な顔で話をしたり。
なんだか、秀吉だけが慌ただしい。
「秀吉さん、何かあるんですか?」
怪訝そうに家康が尋ねるも、
「皆には後で話す。悪いな」
はっきり理由を言わないまま行ってしまう。
理由がハッキリしたのは翌日。
「4日後、常陸国より佐竹義重が参城する」
信長がそう告げた瞬間、政宗の様子が変わる。
冷んやりと殺気を纏った。
「何しに来るんですか、毛虫のおっさんは」
「おい、信長様の前だぞ」
秀吉が政宗を諫める。
「フッ…良い、伊達と佐竹は宿敵なのは知っておる。
が、俺に会いたいのではないらしい」
その言葉に家康が一瞬眼を細める。
「秀吉に会いたいのだそうだ」
信長は面白そうに唇を歪ませ笑い、秀吉を見た。