第18章 かき氷大作戦2
「俺の天女達はもう帰るのかい?残念だよ」
「騒々しかったけど、楽しかったぜ。
また来いよ」
「気を付けて帰れ」
「またね、美弥さん、瑠璃さん」
春日山城の皆がそう言って見送ってくれた。
「確かに氷は頂戴しました!
お騒がせしてごめんなさい。
ありがとうございました〜」
美弥が満足満嬉、ハツラツと別れの挨拶をして頭を下げた。
「女共が世話になった。礼を言う」
信長はそれだけ言うと美弥を乗せた愛馬に蹴りを入れた。
「謙信様、お世話になりました。
次は琵琶の音、お聴きしたく存じます」
サラっと横髪が滑り落ちた。
「次は無い」
一言。
けれど、声色も眼も冷たくはないことを瑠璃は感じとっていた。
「瑠璃っ」
向こうから政宗に呼ばれた。
「ご健勝でいらして下さい。
それでは、またっ」
悪戯な笑顔で謙信を見ると、ひらっと馬に跨った。
一行を見送った信玄が謙信に
「月の天女は危険な香りがするね」
警告めいた感想を述べた。
「くだらぬ老婆心だな」
謙信の視線の先には、揺れる黒髪。
瑠璃の後ろ姿。