第18章 かき氷大作戦2
最後方に付いていた信長と政宗が氷室を出るまでに、1人ずつ潰して、手足を縛り、
引き摺って室の外まで出て来ていた。
闇に紛れて全てを奪い戻してしまっていた。
「お前ら、一体、何なんだ、よ…」
郷八が地面に押さえつけられた姿で、
情け無い声で観念した。
その朝、
静かな城内。
大将2人と瑠璃だけが起きていた。
徹夜組は皆眠っている。
もちろん、後から合流した美弥もだ。
(信長様は睡眠時間が短いのは知っていたけど、
謙信様もなんやなぁ。意外と似た者同士やね)
瑠璃の内心、2人が聞いたら即座に否定して、恨言を言われそうだ。
「お茶を点てて参りました」
「「酒を持て」」
異口同音を唱えた信長と謙信に、
瑠璃が明輝とした笑顔を見せた。
「朝ですよ。
冷たいお茶にしましたので、眠気が覚めるかと思います」
信長と謙信に茶碗を差し出す。
縁側に2人を呼び出したのは瑠璃だった。
「ほう、先程の氷を浮かべたのか」
「これなら飲んでやらんこともない」
信長は満足気に笑い、謙信は満更でもないのを隠して、高飛車に答えた。
クスッ
「ありがとうございます」
少し下がって信長と謙信の間に座って、
涼し気に眼を細めた。