第18章 かき氷大作戦2
(隠しなさい、覚られてはいけません。
近しい人ほど絶対にーー…その言葉は…)
今思えばキツイ言葉だ。
教えてくれた母も、誰にも本当の自分を見せられないで生きていたんだと言うこと。
(私は磨りガラスに映ったあの人を見ていたんやろうか……)
母の真の心、姿を知らずにいたんだと、今、感じた。
向き合いし 見える貴女は 澱霞の郭
磨りガラス越し 映る真(心)なく
私は見えなくなっていたのかもしれない。
或いは、見る事を拒んでいたのかもしれない。
(母を嫌う事で、自分を保っていたのだろうか……)
本人とは決別した。
心はまだ蟠っている。
(だって、どんな風でも母だから…)
弓を握って的の前に母を思い浮かべた瑠璃だった。
※澱霞…でんか/よどんでかすむ。よく見えない。
※郭…かく/物の外まわり、アウトライン。