第17章 かき氷大作戦
「そうですか…
…残念ですが、また、参ります」
瑠璃が時間を稼ぐように間を置きつつ、
納得した様子を見せると主人は
「そうですかぁ」
安堵の息を吐いた。
「申し訳ございません。そうしていただけると助かります」
「いいえ、こちらこそ、突然無理を申して失礼しましたね」
瑠璃は優しく聡明としながらも、
微かな傲慢さを視線や言葉の端々に見せる。
何か勘ぐられない為、努めて姫様らしく振る舞う。
「殿、戻りましょうか。
氷がないならこの様な処、長居は無用です。
帰り道で甘味でも買いますか?
それともーー……」
謙信を促し、わざと必要のない話をしながら、店を出た。
謙信一行の姿を店の中から、外から、
数人の視線が見送っていた。
「「「「…」」」」
謙信、信玄、幸村、佐助、が瑠璃と美弥を守るように囲んで、甘味屋を離れた。