第17章 かき氷大作戦
謙信と瑠璃に続いて信玄と美弥が席につく。
「主人、削り氷があると聞いて来たのだが、出してもらえるか」
氷など必要なさそうな冷めた口調の謙信が主人を見る。
「あ"…えっ…も、も、申し訳ありません…
…今日、今日はっ、削り氷は……」
主人が異常にオロオロ、しどろもどろに弁説する。
「無いと言うのかっ。
姫が喰べたいと申すので、
わざわざ足を運んだと言うのにっっ」
謙信が尚も威圧する。
「殿、おやめになって。
怖がってらっしゃいますわ」
そんな謙信を瑠璃が優しい声音で諌める。
「今年は氷がとても貴重なのは知っておりますから…仕方ない事です」
隣に座っている瑠璃が、謙信の手に、
そっと自分の手を乗せる。
ねっ と言う様子で瑠璃が謙信を見上げ、小首を傾げる。
「チッ…仕方ない…」
(わぁ〜…瑠璃さん、本当、本当のお姫様みたーい。
しかも、謙信様と並ぶと近寄り難いくらいだよ〜)
(謙信の態度は演技ではなく、素だな)
侍従のフリでついて来た美弥と信玄の胸中それぞれ。