第17章 かき氷大作戦
「フン…面白くもない……貴様は、
本当に、正しいコトしか言わぬな」
面白い答えなど求めてないくせに、
心では正しい答えを求めてるくせに、
謙信はそう言って顔を背ける。
「慰めに偽りを言うのは簡単ですけれど……それではただの気休めか戯言になってしまいます」
(本当に気休めを望むなら、幾らでも言ってあげる)
「愛嬌のない女だ」
(私に愛嬌なんて求めてないくせに)
と思っていても口にはしない。
「まぁ、ワタクシよりも愛嬌のない方に言われるなんて、釈然としませんね」
「フンッ…酒を注げ」
瑠璃に揶揄れて謙信は憤然と盃を差し出し、逃げた。
けれど、瑠璃は逃がさない。
「はい、どうぞ。
ぁ…ついでに、コレもーー…」
そう言って瑠璃は酒の肴にと
置いてあった塩を中指に取る。
「?」
不思議そうに瑠璃の一動を注視する謙信。
「! 」
その薄い唇に中指が差し出された。
そして、
瑠璃の細く白い指が
塩を塗り置いて、離れる。
「なっ…////」
頬をほんのり赤くして、謙信が言葉を失う。
「愛嬌、あった方が、よろしいのでしょ?
ぅふふふふ…」
妖麗に笑う瑠璃。
「コレは愛嬌ではなく、悪戯か、妓姫の戯れであろう」
謙信は怒っているのか、狼狽えているのか、
拳を握ってワナワナと訴える。
「ひどい。謙信様ったら、イケズやね」
瑠璃は更に揶揄って笑った。